信州飯綱町 工務店社長のおもいつき日記

地域活性化工務店という業態を目指して奮闘中のツチクラ住建土倉が、ゆる〜く書いてます。

法律に翻弄される

姉歯事件以後、建築基準法や建築士法が相次いで改正され、その為に確認申請が遅れ建築不況に拍車をかけたなんて話は記憶に新しいところですが、いまだに諸々の改正は続いているところであります。

まあ軒並み法律は厳しくなる方向なのですが、今やっぱり大変なのは“増築”です。ベースとなる建物が昭和56年以前のものだとこりゃまた大変な事になり、まず殆ど不可能と言っても良いのではないかと思います。(不可能ってのは絶対ダメってことじゃなくて、やろうとするととんでもなくお金が掛かるぞって言う意味ですが…)そんなわけで増築をあきらめ、確認申請のいらない内部のリフォームにしてしまうことがよくあります。昔の建物は総じて面積が大きいものが多いので、増築しなくても何とかなってしまう事もありますが、元が小さな場合は悲惨です。ホントは建て替えればいいのですが、それもこんな世の中、思うにまかせません。


もうひとつ変な例をあげるとすれば室内に薪ストーブを設置する場合があります。これもしっかりとした法律改正はあんまり無かったのですが、運用の仕方がこれほど変わったものも無いでしょう。例えばログハウスや山小屋、別荘のような建物では室内の壁が木製である事が多いと思います。そういった建物には付き物のように薪ストーブが設置され、その実例も雑誌等でよく見かけますが、実は板壁に薪ストーブは建築基準法違反なんです。でも、これも長野県の場合は田中康夫知事の頃、林業振興の為、扉で燃焼室が密閉できる構造の薪ストーブは、いわゆるガスコンロのような“火気”にはあたらないと言う通達が出され、普通に板張り壁でも何でも設置できてました。しかし、その通達の直前一時期、めちゃくちゃ厳しい時代がありました。ウチでも1軒だけ、本来ならば無垢板仕上げとしたいリビングを、薪ストーブの設置の為、板では確認にならず、やむなく左官仕上げとした事がありました。本当はお施主さん板張りで仕上げたかったのに…その1年前の建物も1年後の建物もしっかり板張りの部屋に薪ストーブ設置してあるのに…です。何か申し訳ない気持ちになります。
今はストーブからの距離により仕上げの制限が定められ、やっと全国的に統一な基準となっています。まあこれもわかりにくいのですが、文句はやめときましょう。(´ヘ`;)


我々も、新しい法律に慣れるのには時間がかかります。できるならば、よく検討して改正し、いったん変えたら1年もたずにまた改正なんて事にならないようにしていただきたいなって、切に思う今日この頃です。