信州飯綱町 工務店社長のおもいつき日記

地域活性化工務店という業態を目指して奮闘中のツチクラ住建土倉が、ゆる〜く書いてます。

建築士

ここのところ「建築士」の権威が失墜してますね。例の構造計算書偽造の話です。
「一級建築士」っていうとそれなりに尊敬されたりしたものですが、内輪では前からこの資格は“足の裏のごはん粒”と言われてました。これ、意味分かります?…そのココロは、とらなきゃ気持ち悪いけど、とっても食えない。誰が考えたか知らないけど、言い得て妙。半ば自嘲気味に笑っちゃったものですが、このままだと社会的に信用されない資格になっちゃうかもしれません。
完全に開き直ってるあのおじさんもどうかと思いますが、業界の構造的なものも確かにあると思います。私も以前2年ほど設計事務所に勤務しておりました。私は意匠だったのですが、その頃でも優秀な構造設計=梁を小さくできる。ってことでした。所定の強度があれば、構造なんてのは限りなくゼロに近くしたいってのが、意匠設計の普通の感情だと思います。でも、その頃役所のチェックは厳しかったです。大規模な建物でも確認申請は3週間で下ろさなきゃいけないことになってるんですが、バブルの頃で物件数も多く、そんな期間では到底処理できない。そこで役所では、内容に不備があるとその期間を延長できるので、つまらないことでもとりあえず不備を指摘して、期限を消しちゃうってことが普通に行われていました。それだけよく見たんでしょうね。そんな設計事務所対役所のバトルがありました。今、都会では確認を下ろす機関が民間企業になってきている。競争原理が働けば、早く簡単に下ろしてくれる機関に業務が集中します。時間無いですからよくチェックしないで下ろしちゃうんでしょうね。
つまり、建物を建築するという行為の中で、ひとりでも良心に欠けるものが挟まっていれば、それがそのまま通っちゃうような構造になっている。建築士は全てが良心と責任の塊と思いたいですが、それは無理でしょう。これからは検査機関の責任っていうものを明確にしていかないと、こんな問題まだまだ起きるような気がします。